昔の話

高校3年生の夏、家で公務員試験の勉強をしていた。その日やっていたのは化学だった。なんだか今までと違ってやってもやっても目が滑る。集中出来ないなあ、おかしいなあと思って、なんとか頭に入れようとするのだけど、やっぱり頭がぼんやりとするだけで、全然覚えられない。今日はいいやと開き直って、その日は参考書を閉じた。
次の日になってもできなかった。なんか、目が見えない。視界が色褪せて、今まで見ていた景色ってこんなもの悲しかったかな?と思った。勉強すらできなくなった自分が悲しくて、焦りと不安で泣いた。
その後あまり記憶がない。どうやって過ごしていたか憶えていない。その頃の感情は覚えている。私が落ち込んでいるので、母が川に連れて行ってくれたが、外が怖くて、川を見ても死にたいしか思わなくなっていて家に帰りたい…と泣いた。空を見ても不安でないていた気がする。眠れなくて、朝まで起きているのだけど、その、朝が来るのが怖くて怖くて、1日ずつ夏休みが終わってしまうと思うと、一刻も早く消えたかった。生まれなかったことにしたいなあって思っていた。

今でもその頃聞いていた曲(相対性理論のハイファイ新書、シンクロニシティーン。きくおミク、きくおミク2など)を聴くと、不思議な気分になる。大好きな曲なので聴きたいんだけど、気分は虚無感に包まれるというか……心だけ高校3年生に戻った気分になる。

私は昔のことに囚われすぎて、鬱病だったときのことを何度も反芻して思い出してしまう(そして、わざわざ公開設定の文章にしてしまう)。でも、それと比べると今ってなんて健康なのだろうかと幸せになる。本が読めるしゲームができるし、ひとりで外に出られるし。薬もソラナックスだけ。良かった、良かった。
ここ数年の出来事が夢だったような気持ちで、今生きている。

(ハートをくれたユーザー:小麦, 柚月, ひまわり❤︎, peco, まりン♡, 梟小僧, へなちょこ, 柔樹紅男, acha)